世界一くわしい革花の専門書

革花(かわはな・レザーフラワー)の作り方や染色・成形などの技術記録とあわせて、革花作家としてものづくりを続ける中で、生きづらさから少しずつ抜けていった心の変化や考え方を綴っています。心を整える視点や日々の気づきを、暮らしと制作の記録としてまとめたブログです。

このブログは、革花作家としてものづくりを続ける中で、私自身が生きづらさから少しずつ抜けていった 心の変化や気づきを記録しています。 革花の技術の話も心の話も、どちらも「生きること」の一部として綴っています。

※「世界一くわしい」とは、一人の作家が歩んできた過程と気づきを、 技術と心の両面から、できる限り丁寧に残しているという意味で使っています。

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突然訪れた絶望。働く場所を失った私に残された、“ものづくり”という選択肢

※この記事は「革花作家|販売と心の記録」シリーズの第2話です。

▼ 第1話はこちら
『絶望の中で見つけた、自分だけのスタートライン』

https://oneoffkao.space/entry/record01-event-first

順風満帆だった日々と、進学の決意

話は少し遡って2017年。

私は、准看護師として外来のある病院に勤めていた。

良き仕事、よき同僚に恵まれ、順風満帆だった。

この病院で働き始めて約3年が経とうとしていたが、何をするにも勉強不足を感じていた。
「もっとこの職場に貢献したい」「もっとできることがあるのではないか」と思い、仕事をしながら正看護師の資格を取得するため、通信制の学校へ資料請求し、進学を決意していた。

 突然の閉院──未来が音を立てて崩れる

ある日、病院スタッフ全員が招集された。
少しの不安がよぎる中、院長の口から出たのは「この病院を閉院します」という一言だった。

その瞬間、私の計画はすべて白紙になった。
このままでは、働きながら進学することができない。収入はどうしよう。
これから、ようやく自分の道を決めて一歩踏み出そうとしていた矢先だった。

「働き口ならいくらでもある。これまで面接で落ちたことなんてなかったし、探せばどうにかなる」
そう思っていた──このときまでは。

面接に落ち続け、自信が揺らぐ日々

翌日、ハローワークで4か所の病院に応募した。
どこも快く面接を受け入れてくれ、すぐに次の職場が決まると安心していた。

だが、何かが違った。
面接では前向きに検討すると言われても断られたり、「元スタッフが戻ってきたいというので、そちらを採用します」と連絡が来たり。

これまで順調だったはずの就職活動が、ことごとく崩れていく。
私は、落ち込んだ。真面目に働いてきたはずなのに、どうして?
「こんなこともあるんだな……」と、自分を納得させるしかなかった。

そんな中、1か所だけ採用してくれる病院があった。
噂ではあまりよくないと聞いていたが、働いてみないと分からない。
気持ちを切り替えて就職を決めた。

1日目、みんな優しく接してくれた。
しかし2日目から、私を指導していた人の態度が急変。
3日目には院長から「態度が悪い」「挨拶もできないのか」「子どももいるのにそんなこともできないとは」と30分にわたって叱責を受けた。

4日目、院長の叱責はさらに激しくなり、私は「もう無理だ」と仕事帰りに辞意を伝えた。

すると院長は、私の知らないうちにねじまげられた会話内容を口にし、さらに強い言葉で責めてきた。

帰宅途中、私は号泣した。

前職を辞めてからまだ1か月も経っていないのに、心がすっかり疲弊していた。
「私って、社会不適合者なのかな……」
あれほど頑張ると決めた進学の夢も、もう思い出すことすらできなかった。

働けなくなった私を、救ってくれた兄

翌日、兄から連絡があった。
落ち込んでいる私を察して「何かあった?」と聞いてくれた。

涙が止まらず、仕事もない、資格も取れない、どうすればいいのか分からないと、思いの丈をぶつけた。

兄はこう言った。
「次の仕事が見つかるまで、一緒にレザークラフトやる?」

そのときの私は、現実から逃げたかっただけだった。
でも、兄と何かをすることで、少しでも気がまぎれるなら──そう思って、頷いた。

絶望から始まった、私だけの物語

それが、私がものづくりの道に進む最初の一歩だった。

崖から突き落とされるようにして、すべてが壊れた。
看護師の仕事が好きだったからこそ、なおさら苦しかった。

だけど、その絶望の中にいたからこそ、兄と向き合い、手を動かす時間が生まれた。
最初は、何かしていないと落ち込んでしまうというだけの、情けない理由だったけれど……

兄と共にものづくりに向き合う日々が、少しずつ私を立ち直らせてくれた。

静かに、確かに。

そして──この物語が、始まった。

次回|第3話


 

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