※この記事は「革花作家|販売と心の記録」シリーズの第22話です。
▼ 第21話はこちら:
ブランドが形になった日|One-Off Kaoロゴ完成と周知のはじまり

2021年2月に、ブランドロゴが完成してから、私は、それまで以上に作品作りに打ち込んだ。
革花(かわはな)は、この時点でも、まだまだ知られていない名前だった。
けれど、それまでに作ってきた作品のおかげで、minneやCreemaでは少しずつリピーターさんも増えて来ていた。
自分自身にできることは、革花作品を作って届けること。そして、お客さまに喜んでもらうこと。
作品を届けるたびに、お客さまが喜びのメッセージをくれて、この時の私は、心から革花を作ることができて良かったと思っていた。
ロゴを作ったことで、ブランドとしての軸が定まった
ロゴが決まった時、ブランドの世界観を決めたことで、作品作りへの迷いがなくなった。
この頃には、過去のがんばりが、少しずつ自信につながり、作りたいと思ったものを形にできるようになっていた。
どんな季節に、どんな花を作るのか。
四季を先取りしていく作品販売の方向性も、少しずつ見えてきた。
それに合わせて、製作ペースも上がり、毎日がめまぐるしく過ぎていった。

minne・Creemaの特集掲載が増えていった理由
そのかいもあって、2021年は、それまで以上に、minneやCreemaで特集掲載されることがとても多い年だった。
それぞれのハンドメイドサイトでは、特集内容が早くに公表されていたこともあり、毎回必ずチェックして、私の作品の方向性が合う特集があるときには、迷わず作って応募した。
ブランドとして、自分の作風が分かるものが作りたい。
単にかわいいという表現だけを用いるのではなく、革の質感を生かしたものや、革に見えないような繊細な作りに、とことんこだわった。
ブランドの顔となる作品はもちろん、写真の撮り方や画角、作品説明からラッピングに至るまでを何度も見直し、自分なりの答えを見つけていった。
行動力のある人と出会い、比較で心が苦しくなった時期
ちょうどその頃、よろず支援拠点でお世話になっていた担当の方の紹介で、ひとりの女性に出会った。
当時、私とは比べ物にならないほど実績のある方で、話を聞けば聞くほど「すごい」としか言いようがない人だった。
初めて会った時、私の作品を気に入ってくれて以降、時間を見つけてランチに行ったりする仲になった。
当初は、あまりにも自分とは遠い存在だったこともあり、尊敬の気持ちで見ていたのだけれど、話せば話すほど、自分とその人のあまりの実力差に、つい比較するようになっていった。
彼女は、とても行動力のある人だった。
思ったら迷わず行動できるタイプの人で、「悩んでいる時間が勿体ない」が口癖だった。
それまで、自分自身も周りに言っていたはずの言葉が、今は槍のように飛んでくる。
「どうしてもっと早くやらないの?」
「やればいいじゃない!kaoさんならできるよ!」
と、言ってくれるけれど、その時の私は、かなり自信喪失していた。
売上の規模も、お客さまの数も、世間からの信頼も。
その人は、私とは比べものにならないほど大きかった。
それに比べて私は、まだ始まったばかりで、売上だって、彼女の5分の1ほどしかなかった。
まだスタートしたばかりなのに、これからどうしたらいいんだろう。
そのうち、彼女の自信に満ちた言葉が、私には「自慢」に聞こえてしまい、徐々に会うのが億劫になっていってしまった。
私の中にあった自信は、いつの間にか、崩れ落ちてしまっていた。
感じ始めた小さな違和感
今思えば、彼女は私に「やればできる」を見せてくれた人だった。
でも私は、同じ土俵に立とうとしていた。
がんばれば、追いつける。
もっと努力すれば、届く。
でも私は、彼女より劣っているんだから、もっともっと頑張らなきゃ!!
そう思い込んで、肩にぐっと力が入っていったのは、ちょうどこの頃からだった。
この小さな違和感は、それから数年間、ずっと消えないまま私の中に存在し続けた。
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