世界一くわしい革花の専門書

革花(かわはな・レザーフラワー)の作り方や染色・成形などの技術記録とあわせて、革花作家としてものづくりを続ける中で、生きづらさから少しずつ抜けていった心の変化や考え方を綴っています。心を整える視点や日々の気づきを、暮らしと制作の記録としてまとめたブログです。

このブログは、革花作家としてものづくりを続ける中で、私自身が生きづらさから少しずつ抜けていった 心の変化や気づきを記録しています。 革花の技術の話も心の話も、どちらも「生きること」の一部として綴っています。

※「世界一くわしい」とは、一人の作家が歩んできた過程と気づきを、 技術と心の両面から、できる限り丁寧に残しているという意味で使っています。

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2017〜2020年の革花販売の記録|イベント出展からコロナでネット販売へ

※この記事は「革花作家|販売と心の記録」シリーズの第15話です。

▼ 第14話はこちら:
売れない時期が宝物に変わる。ハンドメイド販売を続けて見えた世界|販売当初に試したこと・気づき

2017〜2019年|イベント出展とminne販売で学んだ基礎

2017年から2019年までの約2年間は、兄と一緒に活動しながら、ものづくりの基礎と販売の基礎を学んだ時間だった。
ブランドの世界観を固めること、イベントに出展して私たちのことを知ってもらうこと。当時の一番の目標は、その二つだった。

2017年
ハンドメイドを始めたばかりで、自問自答の毎日。作品の方向性を考えるよりも、兄に言われるままに作ることが中心だった。

2018年
レザークラフトの基礎を学びながら、イベントに出て販売の経験を重ねた。ブランドの世界観を形にし、知ってもらうために少しずつイベント参加を増やす。
革小物を作るなかで「自分にしかできないこと」を探し始め、「革で花を作りたい」という思いが芽生えた。とにかく作品を作り続け、この年にminneでの販売も始めた。

2019年
革花を形にすることに必死だった年。多くのイベントに参加し、主催者から声をかけてもらえるようにもなった。
直接お客さまと対話するなかで、作品の在り方や求められているものを探り、生の声から“ペルソナ”を肌で感じ取ることができた。
同時に、minneでの販売も少しずつ伸びていった。年末には兄からの独立を決めた。

革で作られたカロライナジャスミンをモチーフにしたレザーブローチ。手のひらサイズの丸いブローチ

2020年へ|イベントをやめてネット販売に舵を切る

それまで兄に守られるように続けてきたレザークラフトから独立し、少しずつ一人で歩き出した。
2020年2月までは、仲間と一緒に4人でテナントを借りて販売イベントをしたり、知らない場所でのイベントに参加したりと、一人で活動する機会を増やしていた。

ちょうどその矢先、偶然にも「今年からはインターネット販売を主軸に」と決めていた頃に、コロナ感染症が世界を震撼させた。

2020年3月。子どもたちが通っていた学校は長期の臨時休校となり、それまで当たり前だった日常は一変。
必要最低限の外出しか許されなかったあの時、私は前向きに生きようと必死だったが、やがて「ハンドメイドで革花アクセサリーを作る意味」を深く考えることになる。

当時のインスタ投稿(2020年5月12日)

ここからは当時のインスタ投稿をそのまま残しておきます。


4月9日の投稿以来、1か月以上インスタをお休みしていましたが、私は元気に過ごしています。

緊急事態宣言が発令されてから、なんてことない日常がすべて変わってしまいました。
インスタをお休みしている間、「私にできることは何なのか?」と、とにかく色々考え続けた日々でした。

家族や義両親にマスクを作ろうか。
救いを求めている誰かのためにボランティアをしようか。
他には? 私ができることって何?

考えられることを色んな視点から考えたけれど、どう考えても自分が誰かのためにできることは、【ただただ自宅にいること】だけでした。
自分の存在って本当にちっぽけだなと、少し悲しくなったりして落ち込んだりもして。

インスタに作品を投稿して、カラーセラピーとして心を癒してもらおう、とも考えました。
けれど、志村けんさんが亡くなられた頃から、自分の中であまりにもショックが大きすぎて、気持ちがどうにも追いつかず…。
前向きに頑張ろうと思っても、踏ん張りがきかなくなってしまっていました。

いつだって「前向きに生きること」をモットーにしていたのに、こんな気持ちのままインスタをアップしたって、上辺だけの言葉の羅列になってしまう。
誰も元気にすることなんてできない。
だから、本当に元気を取り戻すまでは投稿するのをやめようと思い、しばらくお休みしていました。

お休みしていた間、子どもたちと過ごす時間が増えて、確かに大変なこともありました。
けれど、一緒に過ごす時間の中で子どもからの些細な一言に心が元気になったり、自分自身を取り戻すきっかけをもらえたり。
本当に私にとっては必要な時間だったんだなと感じています。

そして今日、インスタを再開しようと思ったのは、用事があって立ち寄った場所で、久しぶりに会った方々からの言葉があったから。

「何気ない日常が欲しい」

そうだった…みんなが求めているのは、特別な日なんかじゃなくて「何気ない日常」なんだ。
自分が一番欲しいと思っていた日常が、そこにあることをすっかり忘れていました。

自分にできないことばかりに目を向けて落ち込んでいたけれど、普段何気なくやっていたことが、実は誰かの心を元気にしていたということ。
そのたった一言に背中をぐっと押されて、「私ができることはこれしかない!」と改めて感じて、こうしてインスタを再開しています。

辛くなったら、考えるのをやめればいいだけ。
けれど「ただなんとなく生きること」は、私の性には合わないから。
これから少しずつ、インスタを見てくださっているみなさんへ向けて、またいつものように日々感じたことを綴っていきたいと思います。

コロナが変えた人生観とものづくり

コロナ感染症という目に見えない脅威に怯えながら過ごしていた期間は、世界中の人たちの当たり前の日常をどんどん壊していった。

私は「どんなことがあっても前向きでいよう」と決めていた。
けれど、日本での感染者数が増えていくニュースを見るたびに、緊急事態宣言が延長されるたびに、気持ちはどんどん沈んでいった。

当時、すでに私は革花をアクセサリーとして仕立て、販売していた。
だからこそ、「私の作品は何のためにあるのだろう。本当に必要とされるのだろうか」と、自分に問い続ける毎日が続いた。

アクセサリーは生活必需品ではない。真っ先に必要とされなくなるものではないか――。
そう考えるたびに、自分の存在意義や、もしそうなった時どう生きていけばいいのかという不安に押しつぶされそうになった。

けれど、インターネット販売を続ける中で、思いがけず多くの声をいただいた。
「悲しいニュースばかりが目に飛び込んでくるから、気分転換にサイトを覗いていて偶然見かけた。見ているだけで癒しをくれる革花アクセサリーをありがとう。」

そんなレビューをいただくたびに、「自分ができることを精一杯やることが、誰かのためになるのだ」と心から思えた出来事だった。

それまで私は、自分にも作品にも自信がなく、「何のために作っているのか」分からなくなることも多かった。
けれど「見ているだけで癒される」と言ってもらえるなら、たとえ買ってもらえなくてもいい。ショップページを開いたときに少しでも元気になれるように、革花をたくさん並べておこう。
それが、私にできる一番のことだと思った。

コロナがもたらしたのは不安や恐怖だけではない。
それまで当たり前のように過ごしてきた日常を、どれほど尊いものかと気づかせてくれた。

「生きていること自体が奇跡なのだ」と心から感じ、命ある限りやりたいと思ったことには挑戦しよう――そう思えるようになった。
コロナは、私の販売スタイルだけでなく、人生観そのものを大きく変えてくれた出来事だった。


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この記事は、「革花作家|販売と心の記録」という連載の中の一編です。
2017年に革花を始めた当初からの、販売の葛藤や気づき、そして自分自身と向き合ってきた過程を時系列で記録しています。
販売と心の記録まとめページはこちら


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