※この記事は「革花作家|販売と心の記録」シリーズの第10話です。
▼ 第9話はこちら:
選ばれる理由に気づいた日。百貨店での初出展で見えた“リアルなペルソナ像”
百貨店での出来事(第9話)から間もなく、私は、自分自身がこれから作っていく【ものづくり】について、考えるようになった。
それまで、「作りたいものを作る」「作れるものを作る」という感覚だけで、あまり深く考えずに作っていたものを、しっかり形にしようと思ったのは、この頃からだった。
方向性を見失っていた初期

初期の頃に作っていた羽根モチーフとスカルのピアス。こんなものが一緒に並んでいたら、お客さまもぎょっとするはずだ…

何かを生み出したい。でも、何を作りたいのか分からないときは、あれこれ作ってみるのもいいけれど、統一感がなく印象がバラバラに。
すでに販売を始めていたインターネットサイトのショップページは、「何屋さん?」と誰もが感じるほど商品に統一感がなかった。
商品として【何を】【どんなふうに】作るのかが決まっていなかったため、手あたり次第にいろいろ試した結果がそれだった。
兄の言葉で芽生えた革花の目標
そんな中で芽生えた「革で花(かわはな)を作ってみたい」という思い。どんな方向性でものづくりをしていくのか、そして、どんなものを作ったらお客さまに喜ばれるのか──自分自身への問いをきっかけに私は変わっていった。
それまでの手あたり次第なものづくりをやめ、革で花を作るという軸をブラさず、それだけに集中して作ることに専念した。
もちろん、最初の頃は革で花を作る方法なんてどこにもなかった。ネットに情報がないばかりか、教えてくれる人もいなかった。
さて、どうしたらいいだろう?
その時に、兄から言われたことを思い出した。
――「作り方なんて正解はないのだから、自分が作りやすい方法を見つければいい。」
正解はない。それなら、自分に合う方法を見つけよう。そうして、そこから私は革花作家の道をたどっていった。
兄に内緒で作り始めていた革花は、時間をかけてゆっくりと形になり始めていた。
兄におんぶに抱っこだったところから一歩離れ、自分が作りたいと思うものをただ没頭して作った。
作り方なんて知らないし、それが正解かどうかも分からなかった。でも、それでもよかった。自分の手から作り出される世界が、どんなものなのかを、この目で見たい。その一心だった。
正解のない道を、自分の方法で歩く

2019年3月15日|インスタグラムの投稿より
完成するまでは、なんとなくのイメージで花の画像を見ながら作っていた。デザインや色などの計画性はなく、ただ「革で花を作る」というゴールだけを目指した。
ここに至るまでに兄から学んだレザークラフトの基本は、革花づくりにも生かせた。型紙を作らないと美しい形はできず、焦って作ると繊細さが失われる。だからこそ、一発で完成を目指すのではなく、繰り返し試行錯誤して時間をかけて仕上げる。
計画性のなかったものづくりは、やがて商品となるためのものづくりへと変化し、「お客さまのための」革花が少しずつ完成していった。
▶ 第11話
関連作品:
▶ハンドメイド作家が商品の軸(作風)を見つける小さなサインと世界観の育て方
この記事は、「革花作家|販売と心の記録」というカテゴリの中の一編です。
2017年に革花を始めた当初からの、販売の葛藤や気づき、そして自分自身と向き合ってきた過程を時系列で記録しています。
▶ 革花作家|販売と心の記録