※この記事は「革花作家|販売と心の記録」シリーズの第20話です。
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ふるさと納税に革花アクセサリーを出品|地域とつながった私の挑戦
私は2020年9月、開業セミナーで出会ったよろず支援拠点の方に、今後の活動についてよく相談していた。
革花アクセサリーをインターネットでのみ販売していた私は、そこから先、どう進めばいいのか迷っていた。
「作っているのは革花(かわはな)アクセサリーです」と伝えても誰にも通じず、
「レザーで作った花です」と説明しないと理解されないほど、珍しいものだった。
珍しいからこそ時間がかかるのは分かっていたけれど、
それでも、もっと多くの人に知ってもらいたいという気持ちがあった。
ある日、担当の方と一緒に話を聞いてくださった方が、私の作品に興味を持ってくださった。
「革でできた花のアクセサリーなんて珍しいですね」とまじまじと見ている横で、
私は思い切って伝えた。
「革花アクセサリーを作っていますが、私はそれをアートだと思っているんです。」
すると、「アートか…あ!美術館でのワークショップなんてどう?」
そう言って、美術館の方につないでくださった。
2020年12月
思いもよらぬ形で、長崎県立美術館で革花アクセサリーの講師を務めることになった。
そのときの様子は、美術館の公式サイトにも掲載されています。
→ 長崎県立美術館「革花アクセサリー」ワークショップ開催レポート(2020年)
事前打ち合わせを重ね、スタッフの方々に助けていただきながら、ようやく準備が整った。
当時はまだ感染症が流行していた時期だったが、無事に開催することができた。
インスタグラムのフォロワーさんや知り合いの作家さん、美大生など、想像以上に多くの方が参加してくださった。
革花アクセサリーのワークショップは、これが初めて。
何をどう伝えるかたくさん準備していたのに、緊張で言葉が出ず、説明もぎこちない。
でも、参加者のみんなが真剣に革花づくりに向き合っていて、分からないところはどんどん質問してくれて──
その声に助けられながら、どうにか二日間をやり切ることができた。

実は、この時ずっと不安があった。
自分の技術を盗まれるんじゃないかと。
けれど、作品づくりに向き合うみんなの姿を見て、「誰も私の技術は盗めない」と気づいた。
あの時間は、私にとって“教えることの意味”を初めて知った二日間だった。
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この記事は、「革花作家|販売と心の記録」という連載の中の一編です。
2017年に革花を始めた当初からの、販売の葛藤や気づき、そして自分自身と向き合ってきた過程を時系列で記録しています。
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