
投稿日2019年6月19日
ひまわりが主役の夏ブローチ。
これまた夏の花束をイメージしてみました。 一番左側にある葉っぱは夏によく見る【モンステラ】
元気カラーがいっぱいの夏らしいブローチができました〜❤️
私が初めて作った、革100%で作ったブローチ作品からヒントを得て、このブーケも生まれました。
当時の私は、「花束」や「ブーケ」のように、いくつもの花を組み合わせた、華やかな作品をよく作っていました。色の組み合わせやサイズ感、隙間の埋め方などに悩みながら、手が止まることもしょっちゅう。今となっては、それも懐かしい思い出です。
花ひとつひとつの完成度はまだまだだけど、「トロピカルな雰囲気を作りたい」という気持ちが伝わってくるこの作品。今見ても、がむしゃらに頑張っていた頃の自分を思い出します。
革花とは、こういうものだ──という固定観念がなかったのも、当時の私にとっては強みでした。「正解がないからこそ楽しい」と思っていたし、「花はこうでなきゃ」「この色じゃないとダメ」といった縛りもなく、ただ自由に、夢中で作っていたように思います。
色の組み合わせもバラバラで、ひまわりとは思えないほど粗削りなデザイン。だけど、ひたすら「作りたい!」という気持ちだけで作っていたことが、この作品から伝わってきます。
今振り返ると、もしかしたらこの頃が、一番革花作りを楽しんでいたかもしれません。
過去作品を見るたびに、私は「手直ししたい」と思わないんです。
というのも、その時々で、納得するまで何度も向き合って作っていたし、「これでいい」と思えるまで、かなりの時間をかけてきたから。
もし過去に戻れたとしても、やっぱり作り直さなくていい、と思う気がします。
以前はそうは思えなかったのに、今なら、そう感じられるようになりました。
──こんな話を聞いたことがあります。
新人は、まず数をこなせ。
実績がないうちは、完璧を目指すな。どうせ完璧にはならないし、ベテランには敵わないのだから。
たしかに、それは一理あると思います。
でも私には、少し引っかかるところもありました。
右も左も分からない頃は、とにかく数を作って経験を積む。それはきっと誰にでもある段階です。でも私は、「数」よりも、「納得できるもの」を作りたい、という気持ちの方がずっと強かったんです。
適当にたくさん作るのではなく、自分が「これだ」と思えるまで作ること。それが私の作品であり、私のブランドだと思っていました。
だから、ひとつできるようになれば、それを元にいくつも派生作品を作ってみる。そして、そこに物足りなさを感じてきたら、また新しい表現を試してみる。
そんなふうに、革花と向き合ってきました。
時間をかけて向き合っても、当時の自分が出せる100%には限りがあります。でもその中で、「なんか違うな」と感じたときこそが、新しい挑戦のはじまりでした。
そうして何度も、真剣に、当たり前のように革花と向き合ってきたからこそ、今になっても、「あのときの自分にとってのベストだった」と、胸を張って言えます。
技術的にはまだまだ未熟だったし、丁寧さに欠けるところもあったかもしれません。
でも、それも含めて、あのときの私が出せる全力だった。
今はそうやって、過去の自分に、やさしい気持ちで声をかけられるようになりました。
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この記事は、「革花ダイアリー」というカテゴリの中の一編です。
初期から順に、革花作品を振り返るシリーズです。
流れの中で、革花の技術や作り方が変化していく過程をご覧いただけます。
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