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美容室で委託販売をした体験談|委託販売のリアルをまとめる

※この記事は「革花作家|販売と心の記録」シリーズの第17話です。

▼ 第16話はこちら:

革花作家が挑んだ浮世絵コラボ|minne掲載「ねがいをかけるひと」の誕生物語

委託販売のメリット・デメリット

委託販売は、作家にとって「自分が売り場に立たなくても商品を見てもらえる」という販売方法。
私も2020年に美容室で常設の委託販売を経験した。
その体験から感じたことを、まずメリット・デメリットとして整理しておく。

【メリット】

  • 売り場にいなくても商品を見てもらえる

  • お客さまがいる場所に置くだけで自然に手に取ってもらえる

  • 支払いをお店の人に代行してもらえる

【デメリット】

  • 委託手数料が発生する(売上の3~5割程度かかる)

  • 商品の入れ替えが必要

  • 委託している間の商品管理は、ほぼ放置になるため、時々商品チェックが必要

  • 委託中に起きた経年変化や傷などで、販売できなくなる商品が出ることがある

一見、作家に優しい販売方法に思える委託販売だけれど、注意すべき点も多い。

委託販売を始めたきっかけ

2020年。インターネット販売に切り替えてから2年ほど経ったころ。
コロナ感染症の流行でネット販売の売上が落ち込んだ時期に、兄を通じて美容室に作品を置かせてもらえることになり、私は初めて常設の委託販売を始めた。

美容室での展示と販売の様子

革で作ったバイカラーの革花ヘアゴム。ひとつずつ透明袋に包んでラッピングしている。

委託先は、街のはずれにある小さな美容室。
お客さまが待つテーブルにコルクボードを立てかけ、透明袋に入れた作品を展示していた。

販売価格は1500円~3000円程度。売上の3割を委託手数料として支払う契約だった。

自宅から近かったため、新作の入れ替えやアクセサリー金具の変更依頼にもすぐ対応できた。
1か月に1度は新作を届け、お客さまの反応やリクエストを直接聞きながら作品づくりをしていた。

毎月少しずつ売れるようになり、美容室のお客さまから「次の作品が楽しみ」と喜ばれるようになった。

委託販売の難しさに直面

しかし、コロナで美容室に通えない時期が続き、3か月ほど商品を入れ替えられなかったことがあった。
その間に革花アクセサリーは色が変わり、ホコリもかぶり、売り物とは言えない状態になってしまった。

ここで私は委託販売の難しさを痛感した。
特に革は経年変化が早く、蛍光灯の下に置きっぱなしだと色がすぐ変わってしまう。
色の美しさが特徴の革花アクセサリーにとって、それは致命的だった。

委託販売をやめた理由

私はこの経験をきっかけに、委託販売をやめる決断をした。
理由は「相手を信用できないから」ではなく、革という素材の管理を普段しない人に任せることが難しいと実感したからだった。

委託するということは、自分の商品を人に託すこと。
どんな状態で返ってきても文句は言えない。だからこそ、始めるなら商品の扱い方をしっかり共有できる人やお店と組む必要があると思う。

委託販売を経験して感じたこと

委託販売は、作家にとってやさしく見える方法でありながら、実際には多くの注意点がある。

もちろん、委託専門ショップや、しっかりサポートを受けられるところもあるため、一概には言えない。
けれど、自分の手を離れた商品がどうなっているのか、常に気にする必要があると思う。

私の場合は、直接売り場に足を運べる場所だったからよかった。
しかし、これが郵送でのやり取りになると、また話は変わってくるだろう。

SNSでも、委託期間を終えて返送された商品が乱れていた、袋が開いていたなど、商品の扱いが雑に感じたという声を見かける。

委託するということは、自分の商品を誰かに託すことでもある。
だからこそ、しっかり連携が取れる人であるかどうか、商品の扱い方の共有ができるかどうか、できるだけ不安がない状態で始められたらいいと思う。

もちろん、販売方法のひとつとして選択肢に入れるのは悪くない。
作家がその場にいなくてもお客さまの目に触れる場所に置いてもらえるのは、チャンスになるかもしれないから。

どちらにしても、商品がどこにあろうとも管理をしっかりできるように、積極的に関わっていくことが大切だと感じた。

まとめ

委託販売は、作家がその場にいなくても商品を見てもらえるチャンスになる。
一方で、商品管理や経年変化など、作家側の負担やリスクも大きい販売方法だと感じた。

私は「商品管理を人に任せることは難しい」と思ってやめることにしたが、委託販売そのものを否定しているわけではない。
自分に合った方法を見つける中で、選択肢のひとつとして考えてみても良いと思う。

この記事は、「革花作家|販売と心の記録」という連載の中の一編です。
2017年に革花を始めた当初からの、販売の葛藤や気づき、そして自分自身と向き合ってきた過程を時系列で記録しています。
販売と心の記録まとめページはこちら


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