※この記事は「革花作家|販売と心の記録」シリーズの第13話です。
▼ 第12話はこちら:
2019年夏休みのレザークラフトワークショップ|ポシェット・キーホルダー作りの記録
2019年、秋
レザークラフトと革花の両立に悩んだ日々
兄と一緒にやっていたレザークラフトを継続しながら、自分の中に芽生えた「革で花を作ってみたい」という思いを形にしたくて、どう両立したらいいのかと悩み始めていた。
それは、イベント出展で物販をする傍ら、空いた時間に革花アクセサリーを作り、撮影してminneの作品ページに掲載し、注文があれば発送するという忙しい日々を送っていたからだった。
2018年からminneでのインターネット販売を始めてから、少しずつお客さまに選ばれるようになり、2019年に入ってからは、minneで、ピックアップ作品として取り上げられることも増えてきた。

革花を作るようになってからは、兄と一緒にいても革花のことで頭がいっぱいで、革小物を作る時間が惜しくなり、次第に兄との距離も少しずつ遠くなっていった。
minneで革花アクセサリーの注文がくるようになったころから、私の中では革花に集中したい思いが強くなり、そのうち兄に「もうしばらくしたら独り立ちする」と伝えるようになった。
レザークラフトはもちろん楽しかった。革花を作りながらも技術が衰えないように、革小物を作り続けるように兄からも言われていた。けれど、革花を作れば作るほど表現の楽しさが広がり、もっとやってみたい思いが強くなった。

minne’sセレクト掲載作品:夏の花束ブローチ
minne掲載で得た自信と揺れる思い
そんな中、私の作品がminne’sセレクトに掲載された。
心から楽しんで創作した革花が商品として認められ、初めて「自信」という二文字が生まれた。もしかしたら、「革花」一本で勝負できるかもしれない。そんな淡い期待を持っていた。
兄の一言が決意を後押しした瞬間
でも、これから先、兄とやってきたレザークラフトはどうしよう。今まで、ずっと一緒にやってきたのに、自分だけ違う道を選んでもいいのか。そんなもやもやを抱えていた矢先だった。
次のイベントに向けて、新作を考えていたときに「次は何作る?」「私は何をしたらいい?」と兄に聞くと、「お前は他力本願やけん。人にばっかり頼りっきり。そんなんじゃだめさ」と、突き放すように言った。その一言が胸に突き刺さって、揺れていた気持ちを決定的なものにした。
それまで兄に頼っていたのには理由があった。お世話になった感謝もあれば、技術的に支えられていた部分もあったからだ。けれど、兄にとってはいつまでも頼られることが不満だったのかもしれない。
でも、悔しかった。どうしようもなく悔しかった。私なりにやれることを一生懸命やってきたのに。
ならばいっそ、自分の足で立ち、私の力でやってやる。兄がいなくても、私には「革花」があるのだから!
この決意が、これからの人生を大きく変えていくことを、この時はまだ知らなかった。
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