- はじめに|なぜ色見本ノートを作ろうと思ったのか?
- 私の色見本ノート|ルールとこだわり
- 作ってよかった!色見本ノートが導いてくれた視点
- 染料はどれも同じ?実はメーカーによって全然違う!
- おわりに|色づくりは楽しい実験!あなたも自分だけの色を見つけてみて
- 次回予告:染料おためしセットでできる!色の三原色を使った混色のコツ
はじめに|なぜ色見本ノートを作ろうと思ったのか?
革で花を作りたい――そう思い立ったとき、一緒にレザークラフトをしていた兄に相談したところ、「染料のお試しセット」を譲ってもらいました。セットの中には、わずか15mlの染料が5色(赤・青・黄・茶・黒)。小さなボトルを前に、私は胸が高鳴ったのを覚えています。
当時の私は、革の染料を混ぜていいのかすら分からず、まずは単色のまま染めてみるところから始めました。ところがすぐに、「もっと色が欲しい!」という気持ちが湧いてきました。とはいえ、染料を次々に買い足すのは負担も大きく、しかも欲しい色が手に入るとも限らない…。
そんなとき、ふと浮かんだのが「染料を混ぜたら、どんな色が作れるんだろう?」という小さな疑問でした。
ここから、私の「革の染色研究」が始まります。
限られた15mlの染料で、どれだけ多くの色を生み出せるか?混色を繰り返すうちに、単に革花を染めるためだけではもったいないと感じるようになりました。
「色を記録として残そう」
その思いがきっかけとなり、革の染料で作った自分だけの「色見本ノート」を書き始めることになったのです。
私の色見本ノート|ルールとこだわり
色見本ノートを作り始めたころは、特にルールは決めていませんでした。でも、染料のお試しセットを使い切って、さまざまな色を買い足すようになってから、「もう一度あの色を作りたい!」と思っても再現できないことが増えてきたのです。
そこで私は、革染料の混色や染色の記録にルールを設けることにしました。
記録していたのは、以下のような項目です。
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使用した染料のメーカー名と色の名前
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混色の割合(例:赤3:青1 など)
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水で薄めたときの発色の変化
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染料の色と、実際に革を染めたあとの色の違い
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花のイメージ(コスモス・あじさい など)
このように、「染料をどのように使ったか」だけでなく、「どんな印象だったか」まで残しておくことで、後から見返したときにもすぐに思い出せるようにしました。
特に、染料を混ぜて作る“混色”は本当に奥が深くて、やればやるほど夢中になります。
同じ割合で混ぜても、水の量や革の質感によって印象が変わることもあり、「偶然できた美しい色」はまさに一期一会。
自分だけのオリジナルカラーが生まれる瞬間は、まるで魔法のようで、革の染色がもっと楽しくなる大きなきっかけにもなりました。
色が好きな方には、ぜひこの楽しさを体験してみてほしいと思っています。
作ってよかった!色見本ノートが導いてくれた視点
革花を作りはじめてしばらくすると、さまざまな季節の花を再現したくなりました。ところが、実際に染めてみると、見たままの色とは何かが違う。たとえば「赤い花」だと思って赤の染料を使っても、なぜか違和感が残る。「紫の花」も、思っていたより青っぽくなってしまったりと、微妙な色の差に悩まされるようになったのです。
そんなときに役立ったのが、色見本ノートでした。
ノートには、「この色はコスモスのイメージ」「この色はあじさい」と、染めた革の色と花のイメージをセットで記録していました。後から見返してみると、「あれ?この色がコスモス?」と、当時の自分の感覚とのズレを発見できることもあり、それが新たな気づきにつながっていきました。
想像している花の色と、実際に革を染めたときの色はまったく違う。だからこそ、自分だけの「色の記録」が必要だったのだと、今では強く感じます。
花を見てからその色を再現しようとするのと、何も考えずに混色した色を後から花に当てはめるのとでは、完成する革花の印象がまったく変わります。これは実際に染めてみた人にしか分からない、経験から得られる視点です。
この視点にたどり着くまでに、何年もかかりました。でも、色見本ノートがあったからこそ、私の「色づくりの感性」は少しずつ磨かれていったのだと思います。
染料はどれも同じ?実はメーカーによって全然違う!
革花を染めるようになってから、少しずつ増えていった染料たち。水性染料やアルコール染料など、さまざまな種類を実際に試してきました。使っている革との相性や発色の仕方、そして自分の感覚的な扱いやすさも含めて、しっかり記録しています。
一見同じように見える染料でも、メーカーによって色合いがまったく異なることもあるんです。
例えば、色の三原色といわれるマゼンタ(赤)・シアン(青)・イエロー(黄)は、どのメーカーでも大きな違いは感じませんでした。(あくまで私の感覚ベースですが…)
でも、最初から混色されて販売されている染料は別。
同じ「紫」でも、あるメーカーは赤みが強く、別のメーカーは青みが強い。
こうした“個性”がメーカーごとにあり、その違いこそが選ぶときのポイントになります。
私も過去に、同じ色名だからと別メーカーの染料を使ってみたら、いつも通りに混色してもうまくいかず「全然違う!」とびっくりしたことがありました(笑)
特に混色を前提として使う場合は、メーカーの違いが大きく影響するので要注意です。
「同じ名前」でも「同じ色」ではないこと、ぜひ覚えておいてくださいね。
おわりに|色づくりは楽しい実験!あなたも自分だけの色を見つけてみて
革花を作る工程の中でも、私が一番大好きでワクワクする染色。これは、革花を作り始めた当初から今でもずっと変わらない思いです。
革を花の色に染めるというだけでも、とってもワクワクするのに、そこに自分が作ったオリジナルカラーで染められると考えたらどうでしょう?この世界には存在しない色だっていいし、どんな色の組み合わせだっていい。正解なんてひとつもないのが色の世界です。
だからこそ、色を研究し、色でたくさん遊んでほしい。それが私が革染めを楽しんでほしい理由です。出したい色を作ることも素晴らしいし、偶然できた色が運命の出会いになることだってあるのだから、こんなにワクワクすることはありません!
そして染色は、単に革花のためだけではなく、カラーセラピーとしての側面もあります。
混色をしていて、「前はこの色が好きだったのに、今日はなんだかしっくりこないな…」と感じることもあって、実は自分の心模様が色に表れていることも少なくありません。
あなたの色づくりは、あなただけが作ることのできる世界です。
世界にひとつの色を見つけるために、まずは小さなひとしずくから始めてみませんか?
きっとその色は、あなたの花をもっと美しく咲かせてくれるはずです。
次回予告:染料おためしセットでできる!色の三原色を使った混色のコツ
次回は、実際にお試しセットに入っている染料を使って、どんな色が作れるのかをご紹介予定です。
「赤・青・黄」の三原色から、何通りもの色が生まれる楽しさをお伝えします!
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