
今回は少し変わったことをしてみました。
同じ形の革花を3つ用意して、それぞれ「夏の情景」からイメージした色で染めてみました。
テーマは「海」「空」「金魚を描いた風鈴」。
“この花にはこの色”という固定概念からあえて離れて、自由に色を重ねてみたら──
いつもの制作とはまったく違う、新しい楽しさに出会いました。
🎥動画はこちら→ https://youtu.be/IeVPWk8wRmM
【海】革花を“海の色”で染める|夏らしいブルーの重ね方と発色の工夫

最初に選んだのは「海」。
私にとっての海の色は、深い青と透明感のある水色、そして緑色。
海を見た瞬間の波の動きで色が移り変わるように、色で表現してみました。
“きれいに染めること”はあまり意識せず、
その場で浮かんだ色を素直に重ねていくような染め方をしてみました。
実際に染めていると、どんどん色の印象が変わっていくのが面白くて。
あえて染めすぎず、あえて残す。そんな“曖昧さ”も、海っぽいなと感じました。
【空】夏空をイメージした革花の染色|グレー影を効かせた立体感の出し方

次に選んだのは「空」。
夏の空といえば真っ青なイメージですが、
私はもう少しやわらかくて、空気を含んだような空を表現してみたくて。
実際に重ねたのは3色。
ぱっと見では似た色でも、微妙に違う青を重ねることで、
雲の影のようなグレーがふわっと浮かぶような、奥行きのある色合いになりました。
ルールがないということは、時に迷いも生まれるけれど、
それ以上に自由に染められることの楽しさがありました。
【風鈴×金魚】イメージの色で遊ぶ革花づくり|自由な配色で表現する楽しさ

最後に選んだのは、ちょっと変わり種。
「金魚の絵が描かれた風鈴」をテーマにした色です。
これはもう“花”という枠すら超えていますが、夏の風物詩のひとつなので、あえてテーマにしてみました。
水色のベースに、赤い金魚を泳がせるようなイメージで色を重ねていき、最後は白い色で波紋を描いて仕上げました。
自然がテーマではないけれど、金魚すくいで金魚がパチャパチャと跳ねるあの感じをお花の中央部分に表現してみました。
ちょっと不思議な作品だけど、けっこう好きな雰囲気に仕上がって満足しています。
革花の色に正解はない|あなたの“夏の記憶”を色にして咲かせてみよう

今回の染色は、「きれいに作ること」や「花として正しくあること」から、あえて離れてみる時間でした。
花の色に正解はありません。
名前のついた花の色じゃなくてもいいし、形と色が合っていなくてもいい。
自分の中にある記憶や感情を、色で表してみる。
たったそれだけで、世界にひとつだけの“咲かせ方”ができると感じました。
もし、あなたの中にも「夏の色」があるなら、
それを、どうか自分だけの方法で咲かせてみてくださいね。
今後、作品づくりの頻度は減っていくかもしれませんが、
「作ること」を通して気づいたことは、これからも形を変えて発信していきます。
今このタイミングで、この色たちを咲かせられて本当によかったです。