3月に菜の花の制作日記を書いてから、誰かと革花の作り方を共有することの楽しさを知った。
どんな人が見てくれているのか分からないけど、こうやって革花を作っているという流れを伝えただけだけど、私の中では、言葉にできないドキドキやワクワクした思いで心臓が跳ねているのが分かった。
これまでは、たったひとりで作って、販売してという流れの中に、作品を購入してくださるお客さまがいて、メッセージをいただいたり評価をいただいたりというのが日常だった。
それを8年間続けてこれたのは、もちろん、あたたかいメッセージのおかげなのだが、これまでに感じたことのない楽しさを今は感じている。
制作日記を書いた流れから、伝えることの楽しさを知った。
ブログでこんなことをしているよと書いただけだったし、誰かに称賛されたわけではなくても、ただただ、楽しかった。
だから、これからは私の革花作家としての経験を、もっと多くの人と分かち合いたいという思いから、YouTubeを始めた。
約2年ほど前だったかな…
知り合いの作家さんが、「YouTubeをやったらいい」とアドバイスをくれたのに、あの時は動画こそ撮影したけど、何を伝えたらいいのか分からず断念した。
あれから時間が経って、今。
私は、あれだけ渋っていたYouTubeを投稿している。数年前の私が今の私を見たら、とても驚くはず。「できない」「何やったらいいか分からない」「難しそう」と、最初からやりもせずに諦めていたことを、楽しんでいるのだから。
やはり、何事にも、「伝えたい」という思いが大切なのだと実感している。
YouTubeを始めたことで、私の生活は一変した。
毎日「次は何を伝えよう?」「どう伝えたら分かりやすいかな?」「どんなふうに見てもらえたら、楽しさが伝わるかな?」と、目に見えない“透明な視聴者さん”への思いがあふれている。
そして、気づくと、私の中にいた“透明な視聴者さん”は、どんどん色づいてきて私の目の前に現れるようになった。
「次は、こんなことが知りたい」「次は、こんなものが作ってみたい」「これはどうしたらいい?」と、視聴者さんがたくさんの疑問を私に伝えてくれる。
(念のため伝えておくけれど、存在しない視聴者さんなので架空の人。私の妄想の中の人たち(笑))
でも、その疑問に答えようと思うと、どんどん伝えたいことが湧いて出てきて、あれも!これも!伝えたい…!!と、思いが溢れる。
そして、ふと感じた。
あ、このたくさんの疑問を持った“透明な視聴者さん”たちは、“過去の私”だ…と。
革花を作り始めたころ、どうやったらうまく作れるのか分からなくて、たくさんの時間を費やしたこと。買った革のほとんどを失敗作で終わらせてしまったこと。1か月かかっても、作りたかった花が作れなかったこと。
―――あのときの私が感じていた悔しかった思いや、もやもや、葛藤が、“透明な視聴者さん”となって現れているのだ。
8年間の革花作家としての道程を考えても、そんなもがき苦しんだ時間の方が長かった私の過去。それを、未来の私が、救おうとしているようにも感じる。
たくさんのもがいた時間があったおかげで、今の私が存在しているのだから、今度は未来の私が、感謝の気持ちを込めて過去の私のためにできることをしよう。
それが今の行動のすべての原点。
何も持っていなかった私。
何者でもなかった私を、ここまで成長させてくれた過去の私。
本当にありがとう。
そんな思いを込めて、これまで学んできたこと、培ってきたことのすべてを、私のように躓いて先に進めずにいる誰かのために伝えていきたい。
そして、革で花を作ってみたいと私と同じように、ふと思いついた誰かのために、バトンを渡す気持ちで伝えていく。
革花を作り始めたばかりの頃、一番悩んだのは、どうやって革で花の形を作るのか?ということ。花を作ろうだなんて、それまで考えたこともなかったし、どこから手を付けたらいいのかさえ分からず、随分と時間を費やした過去の私。
何を基準にしたらいいのか、どんな作り方なら応用ができるか、再現性の高い作り方は…?と日々自分自身に問いを投げかけて作り上げてきた革花の世界だが、やはり、過去の私に一番伝えたいのは「最初の一歩が肝心なんだよ」ということ。
あの頃の私に、一番渡してあげたいものは何かと言われたら、迷わず「あるもの」だと答える。
それが存在しなければ、成り立たなかった世界。
今の世界にも、それを求めている人がいるのであれば、私が役に立てることは何だろう。
そんなことを、日々考えていたら、朝起きたときには「今日は〇〇からやろう」と思いながら起き、眠る前には「明日は〇〇をやる」…と、ずっと“伝えること”が頭から離れない状態になっている。
そう。
ご想像の通り、YouTubeを始めた私は、とにかく毎日が、充実しているのだ。
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