販売イベントとワークショップの違いから見えたもの
レザークラフトを始めてから3年間ほどは、イベントで革小物の販売をしたり、ワークショップを開催していた。
イベントのたびにさまざまな学びがあったが、その中でもワークショップでの経験は特別だった。販売イベントとは違い、お客さまとの距離が近くなる。ひとつずつの工程を伝えながら、その人にしか作れないものを一緒に形にしていく。自分自身が作るものづくりとは、また違った体験ができるのだ。
ワークショップの準備段階では、「どんな人たちが訪れて、どんなふうに楽しんでくれるだろう」と想像するだけでワクワクしていたけれど、実際にお客さまと一緒に作り上げる時間は、その想像をはるかに超えていた。
あるイベントでは、レザーブレスレットを作るワークショップを開催した。腕の長さに合わせて革を切り、編んで作るシンプルなブレスレット。厚い革を切るのは難しいかと思い、兄と「子どもには無理かもね」と話していた。けれど実際には、小さな子どもでも立派にやり遂げることができた。
私たちが恐る恐る見守る中でも、子どもたちはしっかり作り方を聞き、言われたとおりに手を動かす。「できない」と思っているのはむしろ大人のほうで、子どもには無限の可能性が広がっているということを、その姿を見て気づかされた。

子どもたちの姿から気づいた「ものづくりの普遍的な力」
どんなに小さな子どもでも、大人でも、ものづくりをしていると次第に真剣な表情になっていく。空気感さえも変化し、まるで職人のような集中した雰囲気が漂う。その瞬間を目の当たりにして、「ものづくりが持つ普遍的な力」を強く実感した。
ふだん販売をしていると、作品の裏側を見せる機会はほとんどない。けれど、工夫や技術がどのように積み重なっているかは、実際に体験しなければ知ることができない。ワークショップは、その裏側を共有できる貴重な場でもある。
ものづくりの魅力は、完成品だけに宿るものではない。最初に「どんなふうに作ろう?」と完成形を思い描き、作り方を知ったうえで「丁寧に作りたい」という気持ちが芽生える。そうして慎重に、真剣に取り組む時間こそが、その人の作品に息を吹き込む。
そして、時間をかけて完成したものは、ただの「できあがり」ではなく、自分の手で生み出した証になる。一生懸命だからこそ、愛着が湧き、長く大切にしたいと思えるのだ。

作家として学んだ、作品の裏側と創作意欲を引き出す役割
私たちがあたりまえのように繰り返しているものづくり。その一つひとつの工程が、実はこの手から生まれているということを、ワークショップを通して改めて実感した。
当初は「お客さまにレザークラフトを楽しんでもらうため」の企画だったが、結果的に、自分自身のものづくりへの姿勢を見直すきっかけにもなった。
作家の仕事は、作品を完成させるだけでなく、「誰かの創作意欲や楽しさを引き出すこと」でもある。そしてその過程は、時に自分が想像していた以上に大きな影響を人に与えるのかもしれない。
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