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革の質感を守るという作家哲学|アクリル絵の具と向き合ったクリスマスローズ|過去作品#30【革花ダイアリー】

革で作った花(クリスマスローズ)のピアス作品画像。着用画像とともに2枚ある

投稿日:2019年12月3日

【クリスマスローズ】できました🎄✨

この一年間の集大成と言ってもいいほど、今のわたしにできることを全部詰め込んで、時間をかけて完成‼️
お花の色は、ただの『白』ではなく、下地の色から幾重も重ねて、肌の色に浮かないように気をつけました。
これを着けてくれる【誰か】の心が、このお花のように、まっさらでさわやかな気持ちになれるように…
そんな気持ちをたくさん込めました。

この一年間でわたしがずっと目標としていた
✔︎立体感を出すこと
✔︎より本物に近く
✔︎でも、革らしさを失わない

ということを、ここに来てようやくクリアできたように感じています。
もちろん、未完成な部分もたくさんありますが😅💦
ここから更に…
もっと、もっと私が目指すところに向かって、ひたすら走り続けようと思います!

革を主役にしたクリスマスローズ

革花(レザーフラワー)アクセサリーを販売するようになり、1年ほどが経った頃の作品です。
この頃には作品の世界観がある程度固まり、革が主役であり、どんなものを作りたいのかという方向性も見えてきて、制作にブレがなくなってきました。

花モチーフを作ることを前提に、そこから季節を意識するようになり、アクセサリーの種類もどんどん増えていったのがこの頃です。
インスタの投稿文にもあるように、「本物に近い立体感や雰囲気を持った作品を作るけれど、革らしさを失わない」というのは、革花を作り始めた当初から今でも変わらない、自分の中のポリシーです。

作品としての姿が美しくても、素材としての「革」が消えてしまうのであれば、革を使う意味がないという思いがあります。
革を扱うようになってから、それまでの牛肉という食べ物の意識から、命をいただいた後も大切に素材として使わせていただくという思いが強くなりました。
人の命を生かすためにいただいた命だからこそ、その後も大切に使わせていただこうという思いから牛革という素材が生まれたのだと思うと、単なる素材として扱うには申し訳なさを感じました。
だからこそ、革という素材が隠れてしまわないように、大切にしたいと考えたのです。

革らしさを失わないということの意味

革花を作っていく中で、染料とアクリル絵の具によって革の表情が大きく左右されることをすでに体感していた私は、できる限り、革そのものの質感を生かしたいと思うようになりました。
染料だとその質感は存分に生かされるけれど、アクリル絵の具を使うと革の表面が覆われてしまい、質感が隠れてしまう。
けれど、白はアクリル絵の具にしかありません。

このクリスマスローズを作る時、真っ先に考えたのが色のこと。
染料にはない白を使うためにアクリル絵の具を使いたいけれど、どうしたら革の質感を生かせるのかが大きな課題でした。
アクリル絵の具だけで革に着色すると独特なテカリが出て、革の質感を失ってしまうため、何度も試作を重ねました。

いくつも試行錯誤する中で見つけたのが、【ただの「白」ではなく、下地の色から幾重も重ねて、肌の色に浮かないようにする】という方法。
どのようにして色を重ねたのかは企業秘密です。

「革の質感を生かすアクリル絵の具の使い方」が自分の中で確立したのは、この作品からでした。

📌同じテーマについて、アクリル絵の具と染料の違いを比較した記事でも、革の質感をどう保つかを詳しく解説しています。

試行錯誤が、自信を育ててくれる

ものづくりを続けていくと、自分が作りたいと思う目標が出てきます。
そこをクリアするためには、何事も試行錯誤するしか方法がなく、どこを探しても答えは見つかりません。
それは、答えが自分の中にしかないからです。

過去の経験を重ね、さまざまな手段で何度も繰り返し、目標に一番近づく形になるまで諦めないこと。
それが、一番の近道です。
以前、ハンドメイドを指南しているブログで「100点満点ではなく、70点が取れる作品を販売する」という考えを目にしたことがありますが、私はそうしたくない。
私の作品を求めてくれた方に対して、それが全力で作ったものでなければ、お客さまにも自分にも嘘をつくことになるからです。
70点の作品を100点だとは言いたくないのです。どうしても心がざわつくから。

だから、私は時間がかかっても、大切にひとつずつを作り上げることを選び、こうして思いを語っています。
試行錯誤することは本当に大変だけど、それでも、その経験こそが自分にしかできないことであり、誰も持っていないものになります。
それが自分への信頼に繋がり、自信になるのです。
結果より、そこに至るまでのプロセスが大切だと何度も語っているのは、そういう理由からです。

この作品は、アクリル絵の具で着色しています。
アクリル絵の具で着色できる?染料なしで楽しむ革花づくり

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実際にアクリル絵の具を使って制作した作品は、コスモス制作日記①からご紹介しています。(全4回のシリーズ記事です。)

この記事は、「革花ダイアリー」という連載の中の一編です。
初期から時系列で革花作品を振り返るシリーズです。
流れの中で、革花の技術や作り方が変化していく過程をご覧いただけます。

革花ダイアリーまとめページはこちら

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