世界一くわしい革花の専門書

革花(かわはな・レザーフラワー)の作り方や染色・成形などの技術記録とあわせて、革花作家としてものづくりを続ける中で、生きづらさから少しずつ抜けていった心の変化や考え方を綴っています。心を整える視点や日々の気づきを、暮らしと制作の記録としてまとめたブログです。

このブログは、革花作家としてものづくりを続ける中で、私自身が生きづらさから少しずつ抜けていった 心の変化や気づきを記録しています。 革花の技術の話も心の話も、どちらも「生きること」の一部として綴っています。

※「世界一くわしい」とは、一人の作家が歩んできた過程と気づきを、 技術と心の両面から、できる限り丁寧に残しているという意味で使っています。

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ハンドメイドを仕事にしたいあなたへ|始める前に読んでほしい最初の教科書

 

『ハンドメイドを仕事にする。』

あのときの私は、未来も何も見えないまま、ただそう決めて──前に進んだ。

作るのが楽しくて、誰かに見てほしくて、「好きなことを仕事にできたら」と思った。
きっかけは、「自分にしか作れない世界を創りたい」という、心に芽生えた静かな情熱だった。

けれど、その一歩先に広がる現実を、私はまだ何も知らなかった。

たしかに、ハンドメイドは自由で、やりがいのある世界だ。
でも同時に、思っていたよりもずっと静かで、長くて、ときに孤独で、厳しい世界でもあった。

これは、そんな世界に足を踏み入れようとしている人へ向けた、私からの「最初に読むハンドメイドの教科書」だ。

「好きなことを仕事にしたい」と思った、あの瞬間のこと

すべての始まりは、レザークラフトの「革絞り」という技法との出会いだった。
自由自在に形を変える革を見て、「これをヒントに自分にしかできない表現ができるかもしれない」とひらめいた。

それまで、革という素材には無骨で男性的なイメージがあった。
だからこそ、真逆の発想で何かを作ってみたいと思った。繊細で、美しく、色のある“花”を。

そんなイメージが一瞬にして湧き上がったとき、私は確かにわくわくしていた。

革でできた花なんて、誰も見たことがないはずだ。
販売したら人気が出てしまうかもしれない──そう思っていた私は、まさに「頭がお花畑」状態だった。

現実は甘くなかった。ハンドメイド販売で味わった悔しさ

私は、とにかく思いつくままに革花を作った。
成功も失敗もない、自由な世界に飛び込んだつもりだった。

自分は、誰にも真似できないものを作っているかもしれない──そんな優越感すらあった。

でも、現実は違った。

イベントに出展すれば、「これ、私でも作れそうじゃない?」とお客さまに言われた。
どれだけ時間をかけて作っても、ハンドメイドというだけで「なんとなく安っぽい」と見られることは日常だった。

特に対面販売では、その言葉が耳に直接届いてしまう。
平常心を保つのが難しいほど、無力感に襲われた。

その後、偶然にもインターネット販売を始めていた私は、コロナをきっかけにイベント出展をやめた。

「もっと多くの人に知ってもらいたい。見てもらえれば、きっと魅力が伝わるはずだ」と思っていた。
けれど、現実はそんなに甘くなかった。

誰にも見られない日々が続いた。
作品のクオリティはまだ未熟で、販売に必要なことも、すべてゼロから学び直さなければならなかった。

写真の撮り方も、文章の書き方も、集客も──全部、自分でやるしかなかった。

少しずつ、心が削られていく感覚の中で、それでも手を止めなかったのには理由があった。

やめたくても、やめられなかった。情熱が私を支えていた

私はもともと、「好きなこと」や「やりたいこと」が特になかった人間だった。

それまで看護師として、ただ働いて生きる毎日を送っていた。
自宅と病院の往復。感情を動かす余裕もなく、何のために生きているのかも分からなかった。

そんな私が、突然職を失った。
見かねた兄がすすめてくれたのが、レザークラフトだった。

正直、深く考える余裕もなかった。ただ、「やるしかない」と思った。
でもその先で、「革で花を作ってみたい」と、人生で初めて“自分の気持ち”を見つけた。

「絶対に形にしたい」
「必ず自分のものにする」
「私にしか作れないものを作る」

そう決めてからは、ひたすら前だけを見ていた。

売れなくても、ガラクタのように扱われても、それでも作り続けた。

何度も心が折れそうになった。
「もう無理かもしれない」と思ったことも一度や二度じゃない。

でも、そのたびにまた立ち上がった。
それは、「革で花を作りたい」という気持ちが、心のど真ん中にずっとあったからだ。

ハンドメイドで仕事をしたいと願うあなたへ、最初に伝えたいこと

今、ハンドメイドは誰もが挑戦できる時代になった。
SNSを見れば、クリエイターとして活躍する人たちがたくさんいる。
収益を上げたり、人気作家として名を連ねる人もいる。

でも、その裏側を、私は知っている。

ハンドメイドを仕事にするということは、想像以上に時間がかかる。
思っているよりも、ずっと静かで、地味で、試練が多い世界だ。

ゼロから世界を創ろうとするとき、どれだけの覚悟があるか。
軽い気持ちでは、絶対に続かない。

10年前なら、趣味感覚でも副業としてやっていけた。
でも今は、そんな時代じゃない。

素晴らしい作品を作る人は、すでにたくさんいる。
マーケティングも、ブランディングも、日々進化している。

誰でも作れるものを出しても、誰も見てくれない。
残酷だけれど、これが現実だ。

本気でやりたいなら、迷わず始めていいと思う

私は、革花というものをゼロからつくり、9年間この世界に人生をかけてきた。

だからこそ言いたい。

「売れたら嬉しい」ではなく、
「どうしても作りたい」かどうか。

その違いが、続けられるかどうかを決める。

本気なら、やってみてほしい。
人生をかけてでもやってみたいと思えるなら、きっと意味のある時間になる。

情熱があるなら、試練も壁も必ず越えられる。
覚悟がある人にとっては、この世界は、たしかに自由でやりがいのある場所だ。

そして、あなたの手から生まれる作品が、誰かの心を照らす日がきっと来る。

原点となった私の記録はこちら

【販売と心の記録】
私が革花と出会い、人生を変えていった最初の一歩。
販売と心の記録【第1話から読む】

この記事は、「ものづくりで生きるということ」というカテゴリの中の一編です。
これまでの経験から生まれた学びや気づき、そして悩んだときにどう向き合うか──
考え方や心の在り方について綴っています。
同じように迷っている誰かの、小さな支えになりますように。

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