こんにちは。革花作家のkaoです。
先日、菜の花の制作日記が最終回を迎えました。
私がこれまで多くの時間をかけて積み重ねてきたことを、包み隠さずにお見せした初めての制作日記。正直なところ、これを見せるということは、私自身の今後に多少なりともリスクがあるのではないかと少し不安もありました。
革花との出会いとその挑戦
私が「革で花を作りたい」と思った2017年には、まだ「革花(かわはな)」という名前も浸透しておらず、ましてや「革花」という言葉を知る人もいない、使っている人もいない状況。そんな中で、「ないなら作ればいい」とまるで簡単にできるかのように挑戦しはじめた革花の世界は、私が想像していたよりはるかに奥が深く、難易度も高いことでした。
ゼロからスタートして、目標となる人がいない中で、使う道具から作り方、花の立体感や染め方など自ら創意工夫をして探求を重ね、ここまで作り上げてきたことは言うまでもありません。
それを私が公開するということは、一気に革花の技術が広まるということ。それは、もはや私だけの技術ではなくなるということです。作家にとって命ともいえる「技術」「知識」「経験」をすべて見せることに、これまでは怖さも感じていました。
制作日記が教えてくれたこと
しかし、制作日記を始めてからというもの、私自身に気持ちの変化が訪れました。
「どうやって伝えよう?」
「どうしたらこの楽しさが伝わる?」
制作をしながら撮影をして、どの視点から見たら理解しやすいかなど、それを考えてブログに書くということが、私の革花を作るときのワクワクする気持ちを共有するような気持ちになり、怖さから楽しさへと気持ちが変わっていきました。
革花との歩みと葛藤
2017年から革花を作り始め、2018年に革花のスタイルを少しずつ確立し、販売へ向けて準備を始めました。そして、コロナが流行しはじめた2019年から本格的にインターネットでの販売を開始しました。
販売当初は、まずは革花の存在を知ってもらうことを目標にして、毎月新作を出品していました。努力した分だけ、お客さまたちがたくさんショップを訪れてくださり、革花作品が広がっていく喜びを感じていました。
多くの方に革花を知っていただけたことは嬉しかったのですが、その一方で、心の中にもやもやした気持ちが生まれ、その正体が何なのか分からないまま、ここまで来てしまいました。
そのもやもやした気持ちに気づくきっかけとなったのが、菜の花の制作日記でした。
販売という形の中で感じた葛藤
作品販売は、お客さまとのやりとりや、私の作品を手に取ってくださることで心が元気になることが何よりの喜びでした。しかし、いつの間にか「販売するために作らなければならない」という思いがプレッシャーになり、どんどん苦しくなっていました。
革で作った花を届けたい。革花を見て、癒されたり、嬉しくなったり、幸せを感じてほしいと願っていましたが、ご注文をたくさんいただくほど、自分が伝えたい思いが伝わっていないような気がしていました。
「革花を作りたい」という思いの先に、アクセサリーという選択肢があったから作り始めたのですが、私は最初から一度も自分のことを「アクセサリー作家」だと思ったことはありません。革花を作り始めたときから今でもずっと「革花作家」だと思っています。
アクセサリーを作るということは、身に着けるものだからこそ、破損しないように作ることや、着用する方のことを一番に考えてサイズやデザイン・色を決めるのは当然のことです。しかし、本当はもっと大きさや色、デザインといった私が表現したい部分を、アクセサリーという枠にはめることで一気に世界が狭くなり、そこから出られなくなってしまいました。
これが、私が感じていた葛藤の原因だったのだと思います。
私がたどり着いた答え
たくさんの方に選ばれること、喜んでいただけることは、とてもありがたく、嬉しいことでした。しかし、その反面で、「本当に作りたいものを作りたい」という思いが膨らんでいきました。
販売で収入を得ることよりも何よりも、革花を自由に思い切り作りたい。この思いが、まさに「原点にして頂点」。
ここには書ききれないほどのたくさんの思いが、湧水のごとくあふれだして、今この思いをちゃんと形にしなければと強く感じています。
これからの活動について
このような思いから、これまでOne-Off Kaoを応援してくださった方々へ、今後の活動についてお話したいことがあります。
【販売について】
これまで、販売してきた既存の作品については、今後しばらくは販売を続けていきます。新作については、不定期での販売になる予定です。今すぐ販売をやめることはしませんが、これからのことは手探りになるので、方向性が決まり次第お知らせしていきます。
【ホームページについて】
今後は、ブログで制作日記をメインに、私が本当に作りたいものを作っていこうと考えています。この制作日記には、私がこれまで培ってきたありとあらゆることを、これから革花を作りたいと考えている方々のためにすべて残すつもりです。
私自身、すでに体調面でも無理ができない状態にあることや、これから革花を作る人たちにとっての技術向上、革花の世界がもっともっと発展することを願って、そうすることに決めました。(少しおこがましいかもしれませんが)
発信スタイルはブログがメインですが、ずっと放置していたYouTubeで手元を撮影しつつ、作り方の説明なども私の声でお伝えしたいと思っています。動画編集はプロでないことを前提で(笑)必要最低限になると思いますが、「世界一くわしい革花の専門書」という面白いチャンネルを作ります!
これから準備するので、投稿は少し先になりますが、そちらにも遊びに来ていただけたらとても嬉しいです。
感謝の気持ち
毎回、新作を発表するたびに販売前からチェックしてくださるお客さまや、販売前にご予約くださるお客さま、リピーターさんや初めましてのお客さま。本当に多くの方に支えられて、ここまで来ることができました。
悩んでいる時、苦しい時、もがいていた時も、お客さまからの暖かいメッセージに何度も救われながら、こうして今、本当に私がやりたいことを見つけられたのも、みなさまのおかげです。本当にありがとうございました。
これまで支えてくださったみなさま、応援してくださったみなさま、そして、私が革花を作るきっかけをくれた兄に心から感謝して。
引き続き、革花作家kaoを、どうぞよろしくお願いいたします。
少しずつですが、前に進んでいます。
2025年3月12日からYouTube始めました!
今後はこちらもご覧いただけたら嬉しいです。
ご感想・ご質問お待ちしております!
コメントはこちらから