世界一くわしい革花の専門書

革花(かわはな・レザーフラワー)の作り方や染色・成形などの技術記録とあわせて、革花作家としてものづくりを続ける中で、生きづらさから少しずつ抜けていった心の変化や考え方を綴っています。心を整える視点や日々の気づきを、暮らしと制作の記録としてまとめたブログです。

このブログは、革花作家としてものづくりを続ける中で、私自身が生きづらさから少しずつ抜けていった 心の変化や気づきを記録しています。 革花の技術の話も心の話も、どちらも「生きること」の一部として綴っています。

※「世界一くわしい」とは、一人の作家が歩んできた過程と気づきを、 技術と心の両面から、できる限り丁寧に残しているという意味で使っています。

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比較される世界から、誰とも比べられない場所へ ― 苦しいなら逃げてもいい

 

ものづくりを仕事にすると、いつの間にか「誰かと比べられる場所」に立たされていることがある。

上手い・下手。売れる・売れない。センスがある・ない──
気づけば、周囲と自分を比べる視線の中で、自分が本当にやりたかったことを見失いそうになる。

でも、私は思った。
比べられて、自分らしさを失っていくくらいなら、自分で自分の未来を切り開こう。

誰かのまねではなく、自分の手で、自分だけのものを作る。
その選択こそが、私にとって“逃げる”のではなく、“自分を生きる”ことだった。


私は、兄とレザークラフトを2年ほど一緒にやっていた。
兄は、お客さまの想いを形にするのが得意で、自分の中の「素敵」を、ちゃんと表現できる人だった。
私はというと、兄に言われたとおりに作ることしかできなくて、ずっとやるせなさを感じていた。

兄の作品が一番売れる。だから、それを作ればいい。
そう思えば思うほど、自分の意見を出すことが怖くなっていった。

何度か、私なりの新作のアイディアを兄に伝えたこともある。
けれど、構想段階で否定されてしまうことが多くて、いつしか口を閉ざすようになった。

経験もない。実績もない。
何より、お客さまの声を直接聞くことすらできていなかった私は、ただ兄の影で動く“お手伝いさん”のような存在だった。

それでも、どこかで思っていた。
「私にしかできないものが、あるんじゃないか」って。

それがはっきり形になったのは、革絞りという技法に出会ったとき。
「これを応用したら、面白いものが作れるかもしれない」
直感が、そう告げた。

誰にも相談せず、こっそりと始めた。
革で花を作る──それが、革花との最初の出会いだった。 


どれだけ頑張っても、兄の作品には敵わない。
そう思っていた私は、勝ちたかったんじゃない。
ただ、逃げたかった。

ずっと、比べられていた。
兄と。周りと。
比べられて、自分が劣っていると感じる場所にいることが、何よりもつらかった。

だったら、誰とも比べられない場所に行こう
私にしか作れないものを作ろう。
私だけの世界を、生きよう。

そう思ったとき、やっと、自分の呼吸を取り戻せた気がした。

それまでは、「正しさ」や「うまくいく方法」を探していた。
でも、本当に必要だったのは、「私が作りたい」と思える気持ちだった。

私が作りたいものを、私の手で作る。
そのシンプルな願いが、私を支えてくれた。

結果、私は独学で革花を作り続けることができた。他の誰も作っていなかった「革花」というジャンルを確立し、今ではその技術を伝えている。

今になって思うのは、「あの時の決断は、間違っていなかった。」ということだけだ。


今、自分にしかできないものづくりをしたいと願う人がいるなら、伝えたい。

たとえ、自信がなくても。
たとえ、誰かに否定されても。

その気持ちがあるなら、そっちに進んでいい。

それは“逃げ”じゃない。
“自分を守るための戦い”であり、
“自分を生きるための選択”なのだと、私は言える。

あなたも、もしどこかで
「がんばりすぎているな…」と感じていたら、
それは、本当のあなたに戻るサインかもしれません。

🌙 心が疲れたときに読む、あなたを知るための手紙


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▶この記事の背景となった出来事は、下記の記事で綴っています。
  第8話|私にしか作れないものを探して──革花への情熱が芽生えた日

▶ 周りの声や目は関係ない。自分を信じて生きるということ。

▶ 私の革花の原点となった作品


 

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