
ブランドは“作る”より“育てる”もの
私は、2021年(革と出会って4年目)に、One-Off Kaoという革花アクセサリーブランドを立ち上げた。
本当に何もないゼロの状態から、「革で花を作ってみたい」という思いだけで4年間をかけて革を学び、独学でひたすら革で花を作り続けた。それが形になったのが、4年目のこと。
それまでは、革花をどうにか形にしたい、自分の仕事にしたいという思いがあって、ただ作って販売するという流れを繰り返してきた。けれど、ある程度、革花の土台ができてきたなと思い始めてから「ブランドを作りたい」と意識するようになった。
ロゴを作ってもらったことをきっかけに、私は革花ブランドを立ち上げたという事実と、「ブランドを育てたい」という思いでいっぱいだった。
ロゴがあるということは、視覚的に覚えてもらえるということ。と同時に、すべてにおいて自己責任ということでもある。
それは販売を始めた時点から覚悟していたことだったけれど、ブランドという形ができた以上、中途半端なことはできない。
今まで作り上げてきたものを形にして、多くの人の目に触れるのだから、私もブランドの中の一員として、ここからスタートを切ろうと決意した。
自分らしさを集めた世界観をつくる
ブランド構築と言えるほど立派なものではなかったかもしれない。
けれど、私の中では「どこに向かうのか」という方向性を決めることから始まった。
私が思うブランドは、「自分らしさ」が集まったもの。
だからこそ、自分の好きなものを形にして、それを好きだと思ってくれる人に届けることだと考えていた。
それは、当時から今も変わっていない。
その思いから、私が大好きな花をモチーフに、日本らしい四季を感じてもらえるものを作ることにした。
花が好きな人は、花の開花時期をよく知っているし、「そろそろこの花が咲く季節だな」と体感で分かる。
それは私も同じだった。
だからこそ、季節を花で感じる人たちへ、私の作品を届けたいと思った。
ショップページで作品が並んでいるのを見たとき、まるで花畑にいるような気持ちになるように、色にこだわった。
モチーフとして何の花か分かったとしても、じっくり見るとOne-Off Kaoらしさがあるデザイン。
一目見れば私の作品だと分かるような世界を作りたかった。
そうして、ロゴがブランドの形をつくり、テーマが方向性を示し、それを作り続けることでブランドが少しずつ育っていった。
ブランドを作る前からやっていたことを、ただ地道に続けるだけで、自然とその姿が現れる。
そして、作品を選んでくれる人たちが、ブランドを支えてくれる。
想いが行動をつくり、ブランドが育っていく
ブランドを作ると決めた当時は、本当にしっかりしなければ!と肩に力が入っていたし、ちゃんとやらなきゃと自分を律していた部分もあった。
けれど今になって思うのは、そこまで肩に力を入れなくても、想いはしっかり届くということ。
それは、何もしなくていいという意味ではなく、想いがあれば自然と行動に表れるということだ。
革で作った花を届けたい。
革花で四季を感じてもらいたい。
お客さまの手元に届いたとき、「これが革なの?!」と驚き、作品をずっと眺めていたいと思ってもらえるほど、美しさを感じてほしい。
そして、大切にしてもらいたい。
作品に想いがこもっていることが、手から伝わるように。
私は、常にそんなことを考えてきた。
そうした思いをぎゅっと集めて形にしたもの――それがブランドなのだと思う。
ブランドを作ろうと力が入ると、真っ先に見た目やコンセプトから考えてしまいがちだけれど、本当は「想いを形にする」というところから始めるのがいいのかもしれない。
何の経験もないまま、大きなブランドを作ることはできない。
これまで積み重ねてきたものが形になって、初めてブランドとして成り立つ。
一番最初にやるべきことは、どんなものを、どんな想いで作るか――それだけのこと。
そして、どうやってお客さまに届けるのか。
その思いさえあれば、いつしか自分にしか作れないブランドが姿を現すのだと思う。
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▶ One-Off Kaoの物語は、ここから始まりました。
前回の記事では、その最初の一歩を綴っています。
👉ブランド構築のはじまり|ロゴ完成で芽生えたOne-Off Kaoの世界観
この記事は、「ものづくりで生きるということ」というカテゴリの中の一編です。
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